■マウスピースで治療する顎関節症
1. 自費治療と保険治療の違い
自費の歯科的な治療としては、噛み合わせのずれを正しく検査し、そのずれを矯正することです。
ただし、矯正というと、自分の歯並びを1~2年かけて変えていく作業なので、とても大変です。
ですから、まずは取り外し式のマウスピースで顎の位置を正しい位置へ習慣つけることを行います。
その時に、使用するのが写真にしめす、オーソシスというマウスピースです。
これは、歯型と噛み合わせを取って、患者さん一人ひとりのオーダーメイドとなります。
K7での検査でマウスピース治療が適切であると判断した場合、制作しておいたマウスピースを3回目の来院時に調整し、お口にセットします。
当医院で使っているマウスピースは透明のアクリルでできていて、下顎の歯に装着します。
このマウスピースの表面には、K-7で診断した正しい顎の位置で噛み合わせができるように、上の歯に合わせて、正しい歯の噛み合わせが彫刻されています。
つまり、このマウスピースを入れて咬むと自然に正しいあごの位置で噛み合わせができるという画期的なものです。
保険の中で対応する場合は、歯ぎしり防止用のマウスピースを利用して、できるだけ症状が無くなるようにしていますが、K-7での検査や調整などは出来ません。
2. 治療の流れ
初めの2週間は、就寝時も含めてできるだけ長い時間、オーソシスを装着してもらいます。
症状が軽減してきたら、徐々に使用時間を少なくしていきます。
その後は、使用しなくても咬み方や顎の使いかたが変わったことで、症状が無くなる人もいますし、よる寝るときだけ使用している方もおられます。
なかには、つけていないと症状が出てしまう人もいますので、そのような場合にはご自分の歯の矯正やセラミック治療によって、根本的に顎の位置を良くしてしまう場合もあります。
オーソシスの治療費は、健康保険が使えないため、顎頭蓋機能矯正料として2160,000円(消費税こみ)いただいています。
3. まとめ
以上のように、オーソシスという簡易的な方法で顎関節症の症状を改善させることは十分可能です。
ただ、オーソシスは患者さん自身で着脱可能なため、歯科医師の指示通りに装着しなければ適切な効果が得られない場合があります。
ともあれ、数年かけて行う歯列矯正などと比較すると、費用の面でも期間の面でもメリットが沢山ありますので、顎関節症にはお勧めの治療法といえます。
オーソシス治療が受けられるかどうかは、まずK-7での検査結果によりますので、まずはご自身の顎関節がどのような状態にあるのかを調べましょう。